日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会ホームページより
耳鼻咽喉科・頭頸部外科が扱う代表的な病気
http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/index.html

⚫︎アレルギー性鼻炎
アレルギーの原因となるアレルゲンに反応して、アレルギー反応が起きて、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状を起こす鼻炎。
主なアレルゲンとして、ダニ、スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギ、カモガヤなどがある。
(花粉をアレルゲンとしてアレルギー症状を起こすものが花粉症です。)
診断のための検査としては、鼻汁好酸球検査、血液中のIgE抗体量の測定、皮膚でのアレルギー反応の検査がある。
治療法には抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド、分子標的薬投与や舌下免疫療法などの減感作療法、手術などがある。
アレルゲンの除去、回避も予防法として挙げられる。

○アレルギー性鼻炎に対する減感作療法
アレルギーの原因になる物質、アレルゲンを繰り返し投与し、体質を改善して、アレルギー症状の緩和を目的とする治療。
アレルゲンを皮下注射する皮下免疫療法と舌下投与する方法がある。
3年以上の長期治療が必要だが治療終了後の長期の効果持続や治癒が期待出来る治療法である。
舌下免疫療法はより全身性の副作用が少なく安全性が高いと考えられる。

⚫︎加齢性鼻炎
年齢を重ねることにより鼻の中の温度が下がったり、
鼻の働きが落ちることによる鼻炎。
透明な鼻水が出てくるがくしゃみなどはないことが多い。
仕組みとしては、鼻を通る空気の水分が鼻を通る時に鼻の温度の低下のために水滴となり、それを処理出来ず、鼻水となって出てくると思われる。
アレルギー性鼻炎などに使う薬は効かないことが多い。
適度に温めた生理食塩水による鼻うがいや足湯など身体を温めることが対処法として挙げられている。

⚫︎血管運動性鼻炎
寒暖差アレルギーとほぼ同義。
鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどアレルギー性鼻炎と似ている症状が出るが、鼻汁好酸球は認めず、アレルギーの原因を調べる検査でもアレルギーの原因が認められない。
気温差やストレスなどが自律神経に影響して起こると考えられている。
治療はアレルギー性鼻炎に対する薬が使われることが多い。
※くしゃみとは-Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%BF

⚫︎副鼻腔炎
副鼻腔という鼻とつながっている空洞で起きる炎症で蓄膿(ちくのう)症とほぼ同義。
感染やアレルギー性鼻炎が原因で起こることが多い。
症状は、鼻水、鼻づまり、痰、咳、頭や頬の重たい感じや痛みなどがある。
(かぜの後に続く痰のからむ咳があり、仰向けに寝ると増えるならば、副鼻腔炎による咳の可能性が高まると思います。長く続く咳の原因の一つで、鼻腔内視鏡によって鼻からのどに落ちる黄色い鼻水が認められることがしばしばあります。)
急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に分類される。
○急性副鼻腔炎
かぜなどの後に急に起こる副鼻腔炎。
炎症が副鼻腔に拡がって起こる。
鼻鏡検査や鼻腔内視鏡検査で膿を認めることが多い。
レントゲンやCTで副鼻腔に炎症所見を認める。
治療は鼻処置やネブライザー療法、細菌の関与が考えられる場合には抗菌薬投与などがある。
〇慢性副鼻腔炎
炎症が3ヶ月以上続く副鼻腔炎。
鼻腔に鼻茸(ポリープ)を認めることも多い。
好酸球の炎症が主体の好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にある。
治療は鼻処置やネブライザー療法、マクロライド(抗菌薬の一種)の少量長期の投与、手術などがある。
好酸球性副鼻腔炎に関しては、ステロイド、分子標的治療薬が使用されることもある。

⚫︎鼻前庭炎
鼻の入り口の炎症。
触りすぎたり、鼻をかみすぎたりすることによることが多い。
黄色ブドウ球菌が原因となることが多い。
ひどくなると鼻せつという膿を持つおできが出来ることもある。
治療は抗菌薬投与や排膿などがある。
鼻をさわりすぎないことも大事。

⚫︎耳垢(みみあか)
耳の通り道である外耳道の皮膚、毛、埃、分泌物などが固まったもの。
乾燥している耳垢と湿った耳垢があり、日本人は乾いた耳垢が多い。
耳垢は普通は耳の内側から外側へと自然に出てくるが、大きな塊となって外耳道を塞ぐことがあり、それを耳垢塞栓と言う。
耳に水が入ると耳垢が膨らんで耳が詰まったように感じることもある。
耳掃除をしすぎて、耳垢を内側に押し込んでしまい、固い耳垢塞栓となることもある。
簡単に取れるものであれば、吸引や鉗子で除去出来るが固い塊となって取りにくいものは耳垢水などの液体を耳に入れ、耳垢を柔らかくしてから除去することもある。
耳そうじをしすぎないことも大事。

⚫︎外耳道異物
耳介より内側で鼓膜より外側の部分は管状になっており、外耳道と呼ばれている。
この部分の異物。
玩具、耳かき棒の綿、テッシュペーパー、毛髪、砂、昆虫などがある。
症状は、耳の異物感、耳閉感、痛みなどがあるが無症状のこともある。
昆虫が動いて雑音を感じることもある。外耳道にある迷走神経が異物により刺激され、咳が出ることもある。
治療は医療器具による除去。
昆虫は動かないように処置をしてから除去する。
⚫︎外耳道炎
耳の入り口から鼓膜までつながる耳の通り道に起こる炎症。
耳掃除や触ったりすることが原因になることが多い。
耳の痛みやかゆみがおこったり、耳だれが出たりする。
(耳を引っ張って痛くなるのは特徴的です。)
聞こえが悪くなったり、耳がつまった感じになったりすることもある。
黄色ブドウ球菌が原因になることが多いが、他の菌やカビが原因になることもある。
治療は耳の処置、抗菌薬投与やかゆみを止めるためにアレルギーの薬やステロイドの外用液を用いることなどがある。
耳掃除をしすぎないことや耳を触りすぎないことも大事。

⚫︎急性中耳炎
急性に起こる中耳の炎症。
子供が風邪をひいた後に起こりやすい。
肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルス🦠とは別物。)などの細菌性が多い。
(鼻と耳は奥の方でつながっているので、鼻やのどについた細菌が耳に感染する。)
症状は耳の痛み、耳が詰まった感じや聞こえにくさなどがある。
子供の場合は不機嫌や泣いたりすることもある。
所見としては鼓膜が赤くなったり、鼓膜の奥の部分に膿が溜まっていたりする。
軽症の場合、抗菌薬を使用せず、対症療法が勧められるが、改善が認められない場合、
リスクが高い場合や中、重症の場合は抗菌薬などの投与が勧めれる。
鼓膜切開による中耳の排膿も治療法として挙げられる。

⚫︎滲出性中耳炎
鼓膜の奥の中耳腔に貯留液が貯まり、鼓膜の動きが悪くなり、伝音難聴を起こす中耳炎。
痛みや発熱などの急性炎症症状を伴わない。
小児や高齢者に多い。
原因は小児では急性中耳炎からの移行や鼻副鼻腔炎、鼻の奥のアデノイド(咽頭扁桃)肥大によるものが多い。
成人の場合、上咽頭の腫瘍が原因となることがある。
症状は難聴や耳閉感。
鼓膜所見は陥凹していたり、鼓膜の奥の液体貯留が認められたりする。
標準純音聴力検査で伝音難聴を示し、ティンパノメトリーでB型やC型を示す。
音叉を用いたWeber法は患側に偏ることが多い。
治療法としては、粘液溶解薬の内服、耳管通気、鼻の治療などの保存療法や鼓膜切開や鼓膜換気チューブ留置術などがある。
※難聴とは-Wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A3%E8%81%B4

⚫︎急性低音障害型感音難聴(ALHL)
低音域に急性に起こる感音難聴。
ストレスや過労が原因の可能性があり、内リンパ水腫が病態と考えられている。
若い女性に多く、急性感音難聴の中では最も頻度が高い。
症状としては、耳の詰まった感じ、耳鳴り、難聴が挙げられる。
標準純音聴力検査では低音域の聴力低下が認められる。
音叉によるWeber法では感音難聴なので健側に偏ることが多い。
治療は、投薬治療として、浸透圧利尿剤、ビタミン剤、ATP製剤、ステロイド剤、漢方薬の投与などがある。

⚫︎メニエール病
耳が詰まった感じや耳鳴り、聞こえにくさなどの耳の症状を伴うめまいを繰り返す耳の病気。
上記の急性低音障害型感音難聴と内リンパ水腫が病態と考えられ、ストレスと関連が指摘されている。
めまいの時間は10分~数時間くらいで回転性のことが多いが、浮動性のこともある。
音が響くように感じる場合もある。
治療は、投薬治療として、浸透圧利尿剤、ビタミン剤、内耳循環改善薬、ステロイド剤、漢方薬の投与などがある。
生活改善、ストレスを減らす、有酸素運動も勧められる。

⚫︎良性発作性頭位めまい症(BPPV)
頭を動かした時に起こるめまい(数秒~数十秒の短い時間だけ続くことが多い。)で末梢性めまいでは最も多い。
内耳の前庭にある耳石が半器官に入ることによって起こる。
特定の頭位へ頭を動かすと数秒の時間差の後、回転性または浮動性のめまいが起こり、すぐおさまることが多い。
同じ頭の動きを繰り返すとめまいは減ってくる。
耳が詰まった感じ、耳鳴り、聞こえにくさなどの耳の症状は伴わない。
フレンツェル眼鏡を用いた頭位変換眼振検査でも特有の眼振が認められることが多い。
治療としては、Epley法(エプリー法)などの耳石置換法や抗めまい薬投与などがある。

⚫︎かぜ
ウイルスや細菌などの病原体が上気道(鼻やのどのあたり)に感染して、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、頭痛、発熱などの症状を起こす病態を指すと思われるが、人によって定義はいろいろで曖昧と思われる。
治療はウイルスによるものであれば対症療法が中心となるが、細菌によるものであれば、対症療法とともに抗菌薬投与も考慮する。
規則正しい生活をすることなどで免疫力上げることも重要と思われる。
 
⚫︎急性扁桃炎
のどの奥の方にある口蓋扁桃に起こる炎症。
症状は、のどの痛みや発熱など。
口蓋扁桃に白い膿や発赤、首に圧痛のあるリンパ節の腫れがあることも多い。
溶血性レンサ球菌を中心とした細菌によることが多いが、EBウイルスやアデノウイルスなどのウイルスによることもある。
悪化すると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍となり、重症化することがある。
治療は細菌によるものであれば抗菌薬投与、ウイルスによるものであれば、対症療法が中心となる。
 

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